■2019年1月20日 第10回 冬の葉もの・いちご 〜 勉強品目「冬の葉もの」 東京青果(株) 藤原寛氏
  • 小松菜は、根つきのほうがいいか悪いかではなく、生産者さんのこだわりや作業性によると思います。ハウス栽培では、多くは根をつけて出します。

  • 茨城県、福岡県はほとんどハウス栽培です。規模が大きいハウスでは、日本人の農家の方が作り、外国人研修生が収穫します。

  • 茨城県では、15年ほど前の水菜ブームのときに、水菜から小松菜に変えた農家があり、小松菜栽培が増えました。

東京青果(株) 藤原寛氏
  • 今年は暖冬で、茨城県のハウスではだいたい25日、夏場は22〜23日で出荷します。

  • 船橋競馬場付近に大きなハウスがいくつもあり、多くは小松菜のハウスです。

  • 年末用の小松菜は遅くても11月3日までに播種しないと年内に出せません。ちぢみほうれん草は、長野県から始まり、茨城県、千葉県、群馬県と続きますが、9月後半〜10月初めまでに播く必要があります。早播きすると縮まずに立った形になることがありますが、味は変わりません。今年は暖冬で11月中にできてしまい、大きくて袋に入らず、規格外として圃場で廃棄されたものも多いと思います。

  • 露地とハウスの小松菜は根の太さが違います。束でもFGに入っていても、露地ものは根っこが太いのですぐわかります。

  • 茨城県の「ちぢみ小松菜」は、通常の小松菜とは品種が違います。普通の小松菜は上に伸びますが、ちぢみ小松菜はある程度上に伸びたあと、横に株が広がります。初期生育をしっかりしないと伸びきらず、丈が短くなります。広がり過ぎたら外葉を取りますが、取り過ぎると芯だけになり、かたいといわれてしまいます。

  • 今日の「ごせき晩生」は大きくてえぐいと思われるかもしれませんが、茎もやわらかくておいしい。江戸川の生産者の方が自分でタネを採って栽培しています。

  • ほうれん草、小松菜の旬は冬です。「赤根ほうれん草」のように季節限定で出しているものは旬がわかります。関東産も昔は冬しか売っていませんでした。

  • 福岡県には小松菜のハウス50〜60棟で作っている方、茨城県にも1人平均3丁歩の大きなハウスで毎日200ケースから400ケース出す農家さんがいます。それだけの量を同じクオリティで出すために、1把ごとの結束ではなくFGになっていると思います。

  • FGと束のどちらがいいかではなく、個人的には、群馬県や茨城県の束で、丈が短く軸が太くてゴワゴワした感じに見えるものがおいしいと思います。

  • 冬場、市場に来る、規格外・バラ詰めのほうれん草は、伸びすぎて加工用のイメージですが、技術のある八百屋さんは店で束ねて売っています。味はいいのでおすすめです。

  • 加工関係の小松菜やほうれん草は長さ45〜40センチ前後です。ほうれん草の規格は25〜27センチで、スーパーのショーケースに入る長さです。FGの袋もショーケースに並べて売りやすい長さになっています。

  • 八百屋さんは、卸や仲卸からおすすめの産地を聞き、店で1週間もつものか、安いものか、味がいいものか、それぞれのスタイルに合わせて選ぶことをおすすめします。果物と違い、野菜はどの産地も同じように作っていて、よしあしがわかりにくいので、必ず食べてみて、おいしいと思うものを自信を持って売るのが原点だと思います。

  • 冬場に圃場が凍ることがあります。そのときに無理して小松菜を採ると根が溶けるので、しっかりした産地は畑が溶けるまでは収穫しません。冬場は夏以上に傷みが出ます。夏場は根が乾いているのでむしろ傷みにくいのです。上ばかり見ないで、根の部分をチェックするといいと思います。

  • 千葉・房総の菜花は、新しい産地が年々FGになっています。束を作っているのは高齢の生産者さんで、技術的にこだわったものを出していますが、年々減少しています。

  • 「ちぢみ雪菜」、「ちぢみ菜」などは冬季限定です。定番のほうれん草や小松菜に加えて、少し違うものを売ってみるのもいいのではないでしょうか。
◇「冬の葉もの」などの写真
ハウスほうれん草
(群馬)
ちぢみほうれん草
(群馬)
赤根ほうれん草
(山形)
サラダほうれん草
(茨城)
サラダほうれん草
(千葉)
小松菜
(千葉)
あっちゃん
(雪印種苗)
冬里
(雪印種苗)
ごせき晩生
(東京)
あさひちりめん
(茨城)
サラダ小松菜
(茨城)
小松菜ベビーリーフ
(茨城)
ちぢみゆきな
(宮城)
プチヴェール
(佐賀)
あしたば
(東京)
あさつき
(山形)
菜の花
(千葉)
菜の花
(長崎)
かつお菜
(徳島)
茎立ち
(福島)
チーマディラーパ
(埼玉)
ベビーチーマ
(福岡)
カーボロネロ
(埼玉)
芽キャベツ
(静岡)
■2019年1月20日 第10回 冬の葉もの・いちご 〜 勉強品目「いちご」 橋本幾男氏
  • 鉾田の高野さんのいちご(品種はとちおとめ)、「きらぴ香」、「やよいひめ」、「スカイベリー」、「ゆうべに」、「淡雪」、「あまおう」の7種類をお持ちしました。

  • うちでは、高野さんのいちごを中心に売っています。今日の「きらぴ香」は「デラックス」ですが、9個玉の「特選」すばらしい品で、これは売りました。高野さんのいちごが少なかった時に「やよいひめ」も売りましたが、これも評判がよかったです。

  • 「スカイベリー」は生産者によって味が全然違うので、気をつけたほうがいいでしょう。
橋本幾男氏
  • 熊本の「ゆうべに」もおいしいいちごです。

  • 先日、奈良の「淡雪」を食べたらおいしかった。今日は群馬県産です。

  • 「あまおう」は今年で16年経ちますが、最近はいまひとつです。「あまおう」と名前がつく前の2年間はうちの店で試験販売しました。その頃は腕のいい人が作っていました。最近は、先がとがっているもの、酸が強いものが増えたような気がします。「あまおう」は丸みのあるものを売るほうがいいでしょう。
◇「いちご」の写真
あまおう
(福岡)
きらぴ香
(静岡)
スカイベリー
(栃木)
畑のいちご(やよいひめ)
(茨城)
ゆうべに
(熊本)
高野さんのとちおとめ
(茨城)
淡雪
(群馬)
 

【八百屋塾2018 第10回】 挨拶講演「小松菜・ほうれん草ほか冬の葉もの野菜」勉強品目「冬の葉もの」「いちご」商品説明など食べくらべ