■2023年8月20日 第5回 なす・シャインマスカット 〜勉強品目「なす」 東京青果(株)  菅野敏之氏
◇「なす」について
[東京青果(株)  菅野敏之氏より]
  • 東京青果(株)の野菜第3事業部で、なすとじゃがいもの販売に携わっています。

  • 関東、東北、中国地方、四国あたりまでは、「千両なす」、「式部なす」あたりがメインで販売されています。九州と北海道の一部では、なすといえば「長なす」のことです。

  • 流通については、生産者の方が作ってくれたものが輸送されて市場に届き、われわれ仲卸が中心になって販売、商品がスーパーや量販店、八百屋さんの棚に並ぶという流れになっています。

  • 今年は暑すぎてやや数量が少ないかもしれません。夏野菜で8月は需要期、消費動向はいいと思います。市場としては、この流れを崩さないように、販売を続けいきたいと思っています。

  • コロナ禍を経て、流通面はかなり変わってきています。一般消費者の方も、今までは、特売品や安いものを求めて、2〜3軒の店を回るという買い物スタイルがあったかと思いますが、最近は1か所で買い物を終わらせられるように消費動向も変わってきていますし、eコマース、インターネット販売、デリバリーといった販売経路も拡充されています。

  • 生産量は減ってきているので、生産者さんのために、少しでも高く販売できるように、さまざまな手法を使いながら維持拡大できるように努めていきたいと思いますので、八百屋さんにもぜひご協力をお願いいたします。

  • 本日の勉強品目について説明します。栃木、JAはがの真岡の「千両なす」は、ごく一般的ななすとして、漬けものや炒めものなど、オールマイティーに使える品種です。皮もほどよいやわらかさで食べやすいです。

  • 「式部なす」も栃木。「千両なす」に比べると皮がしっかりしていて、歯ごたえがあると思いますが、これも一般的ななすの部類で、全国的に栽培されています。

  • 「筑陽なす」は茨城。「PC筑陽」という品種は、ハチなどの受粉がいらない品種改良がされています。安定供給、安定生産という面では、「筑陽なす」が多く選ばれています。

  • 熊本の「大長なす」は、非常に長いなすで、果肉はやわらかく、皮もそれほど気にならない食味が特徴です。

  • 静岡の「折戸なす」は、丸なすや米なすの部類に入ると思います。

  • 「サファイアなす」は山形。漬けもの用として、量販というより業務筋に適している商材です。

  • 「賀茂なす」は京都で作られている丸なすの一種で、地元では有名な品種です。東京では流通量は多くないと思います。

  • 「とろまるなす」は、7〜9月、群馬県を中心に生産されています。真っ白な「白なす」は茨城です。どちらも珍しい種類のなすとして、飲食店や業務筋に好まれるほか、スーパーなどでは食べくらべ用商材など工夫して販売されていると思います。

  • 大阪、「泉州の水なす」は、加熱せず、生のままでもおいしく食べられるなすです。関東では浅漬けにされているものが多い。食べ方は地域によって差があるのではないかと思います。

  • 「米なす」はアメリカから来た品種で、丸なすと同じような用途で使われます。最近では、総菜やサラダなどに使われることが多く、調理しやすいという評価をいただいています。

  • 「絹皮なす」は愛媛。皮が薄くて、果肉もやわらかく、特に業務用として市場内での高評価をいただいてます。
 
◇「なす」の写真
夏秋なす
(栃木)
式部
(栃木)
中長なす
(茨城)
大長なす「長助」
(熊本)
折戸なす
(静岡)
サファイアなす
(山形)
賀茂なす
(京都)
京山科なす
(京都)
京しずく
(京都)
とろまる
(群馬)
白なす
(茨城)
水なす
(大阪)
米なす
(高知)
絹かわなす
(愛媛)
ひごむらさき
(熊本)
佐土原なす
(宮崎)
国府なす
(岐阜)
中島巾着なす
(新潟中島菜圃)
白十全
(新潟中島菜圃)
はるか梨なす-1
(新潟中島菜圃)
はるか梨なす-2
(新潟中島菜圃)
はるか梨なす-3
(新潟中島菜圃)
黒十全
(新潟)
八石なす
(新潟)
越の丸なす
(新潟)
ていざなす
(長野)
那須の美なす
(栃木)
寺島なす
(東京)
 

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