■2017年9月10日 第6回 ごぼう 〜 勉強品目「ごぼう」について 東京青果(株) 小川裕介氏
  • ごぼうはもともと長根種が主流でした。私はごぼうを担当して約15年になりますが、その間にもごぼうの生産状況は変わっています。たとえば、今、さといもなどで有名な埼玉の入間の地域は、昔、ごぼうの大産地だったのですが、連作障害などにより産地が北上しています。今は泥つき長根種は青森がスタンダードな産地です。ごぼうは消費量が減っていますが、生産量も減少していて、売る側としては心配しています。
東京青果(株) 小川裕介氏
  • 「てがる」は早生品種の短いごぼうです。ここ数年、九州などでこのタイプの栽培が増えていて、宮崎、鹿児島、熊本で作られています。消費の現場では、長いごぼうは袋からはみ出てしまうので、半分に切ってほしいというお客さまもいらっしゃいます。また、都市部では泥がついていると排水溝に詰まるとか、味とは関係ない部分で、洗ってあるものがいい、といわれます。今までは春先の商品、3月くらいから始まり6月頃に終わるものだったのですが、ここ5年ほどは作型の体系が増えてきて、12月から9月まである商品になりました。

  • これからのシーズンは、泥つき、長根種がメインになります。青森産は早生品種で、8月のお盆過ぎくらいから出てきました。今後は中生種になります。雪が積もる前、11月終わりくらいまでに掘れるだけ掘って貯蔵し、春先まで販売します。掘れなかったものは雪が溶けた後に掘りとりを行い、それが終われば青森産は終了となるのですが、貯蔵技術が向上しているので、産地としては1年間通して販売しよう、という計画もあるようです。

  • 茨城県なめがた農協の「芹沢ごぼう」は、春蒔きと秋蒔きの2作で、現在は秋蒔きが終わり、春蒔きが出てきます。掘ったものをすぐに選果、選別して市場に出荷しています。ここは雪が降らず、冬場も土から掘りとるので、風味が強いのが評価されています。

  • 長根種はほぼ「柳川理想」です。

  • 洗いごぼうの中には、業者さんが原料を仕入れして、自分のところで洗って出しているものもあり、よく給食などの納めに使われています。

  • 北海道のオホーツク海側にある小清水農協のごぼうは、湧水栽培です。砂地に近い土質なので、やわらかいのが特徴です。八百屋さんで、これを指名して買われる方もいますが、貯蔵がないので8月下旬〜年内いっぱいの出荷です。

  • 岡山産のごぼう「連島」は、東京の市場には入荷していないので、なかなか見ないと思います。春先に出てくる九州の新ごぼうと同じで、早生系の品種が使われています。

  • 宮崎、JAはまゆうの「夏ごぼう」は、洗うときに長く水につけておいてアク抜きもされているので、風味はやや落ちますが、やわらかくて見た目はきれいです。新ごぼうは肌のきれいさで値段が決まるので、価格は高めです。

  • 鹿児島は、今、一番栽培面積が増えている産地で、ほぼ1年中作っています。たばこの消費量が減ってきたため、かん水施設を利用してごぼうを作り、面積を増やしています。

  • 京都産の「ごぼ丹」は早生品種です。京野菜としてブランド化しているため、やや高めの設定になっています。

  • ごぼうには必ずスが入っているもので、それが見えるか見えないかの違いだけです。私は、もしいやなら、できるだけ細いものを買ってください、と説明しています。また、古いとスが入りやすいので、同じ太さであれば掘り立てのもののほうがスが入っていない可能性が高いと思います。

  • 八百屋さんは対面販売が強みです。ごぼうは皮の部分に栄養が多いとか、泥ごぼうは洗いごぼうより日持ちするなど、正しい知識を消費者に伝えてほしい、と思います。
◇「ごぼう」の写真
ごぼう
(北海道)
ごぼう
(青森)
ごぼう・柳川理想
(青森)
ごぼう・常豊
(青森)
大浦ごぼう
(青森)
ごぼう・てがる
(青森)
芹沢ごぼう
(茨城)
洗いごぼう
(茨城)
汐風ごぼう
(石川)
かおりごぼう
(奈良)
ごぼ丹
(京都)
連島ごぼう
(岡山)
夏ごぼう
(宮崎)
サラダごぼう
(鹿児島)