■2018年2月18日 第11回 プチヴェール・芽キャベツなど 〜 勉強品目「プチヴェール」「芽キャベツ」など 東京青果(株) 柴本勲氏
  • この冬は、関東も氷点下の日が続くなど気温が低い日が多くなっています。秋の台風で10月下旬に定植したものが被害を受け、出回りが少ない状況です。

  • 先日、千葉の銚子に行ってきましたが、塩害で、常緑樹の葉が黄色くなったり、松が枯れたりしていました。キャベツの出荷の内訳は、Lが3割、それ以外のM、S、2Sなどが7割。早穫りして小さいものが多く、3月も続くものと思われます。

  • だいこんはトンネルで、台風のあとに定植していますが、出回るのが3月中旬以降になります。寒さにあたると糖度は上がるので、味は甘みがあっておいしいと思います。
東京青果(株) 柴本勲氏
  • 今日は春野菜のひとつとして、山形の山菜「庄内あさつき」をお持ちしました。こうした伝統野菜は、生産者の高齢化もあって、年々、生産量や消費量が減っています。

  • 芽キャベツは50年前からある野菜で、消費者に浸透してきています。

  • 「博多蕾菜」、「おいしい菜」は、博多トマトや博多万能ねぎなども含め、博多シリーズとして出した野菜です。

  • 「蕾菜」は、2〜3kgの大きい株のわき芽部分で、1株から2〜3パックしかとれません。地元の漬物屋さんが一部使いますが、畑で廃棄されるものも多いそうです。また、1月下旬〜3月上旬と期間が短くて使いづらいとか、最後は大きくなって価格が下がるとか、春野菜としてのインパクトはあるのに、なかなかむずかしいようです。

  • 「おいしい菜」は、春先までありますが、輸送面に問題があり、福岡県から市場に着く時点で3日経っています。鮮度が命なのに、消費地の最高気温が20℃を超えるとはがれた葉が黄変することがあります。

  • 千葉の「菜花」は、今年、露地が塩害や12〜2月の低温のため1/3くらいしかありません。伝統的な作り方は、木枠に束を入れ、花蕾を合わせて葉っぱを切ります。1ケース作るのに2時間くらいかかるので、若い人の中には束ではなく袋に入れて出す人もいます。

  • 徳島、香川なども菜花の産地です。

  • 「オータムポエム」、「アスパラ菜」といった細かい野菜がお客さまになかなかつながらないのは、ただでさえ期間が短いのに種苗会社ごとに名前が違ったりして、知名度が上がりにくい、という面があるかもしれません。春野菜は、ファーマーズマーケットや道の駅のような直売所で売られるケースも多く見受けられます。

  • 温暖化の影響か、すだち、かぼす、ゆずなど、徳島、大分、高知の特産品だったものが、最近は関東近郊でも作られています。三鷹では東京産のみかんを作っています。また、オクラ、モロヘイヤ、ズッキーニ、ゴーヤー、冬瓜など、昔は南国野菜といわれたものが、関東が産地になっています。有機野菜なども、新しいチャネルとして市場に出す動きがあり、いろいろなことが少しずつ変わってきている、と感じています。

  • 春の野菜が持つ苦みはポリフェノールの一種で、ヒトや動物は春に覚醒するために食べる必要がある、ともいわれます。八百屋さんがしっかりご説明をして売っていただけるように、われわれもがんばりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
◇「プチヴェール」「芽キャベツ」などの写真
プチヴェール
(静岡)
プチヴェール・白
(神奈川)
芽キャベツ
(静岡)
芽キャベツ
(静岡)
スティックセニョール
(静岡)
サラダオニオン
(静岡)
サラダセロリー
(静岡)
菜の花
(千葉)
おいしい菜
(福岡)
蕾菜
(福岡)
神崎あーさい
(佐賀)
庄内あさつき
(山形)
アスパラガス
(岩手)
アレック
(埼玉)
オータムポエム
(新潟)
スティッキオ
(宮城)
サボイキャベツ
カーボロネロ
カリフローレ
(沖縄)
コールラビ
ピッコロホワイト
(神奈川)
■2018年2月18日 第11回 プチヴェール・芽キャベツなど 〜 勉強品目「雑柑類」 橋本幾男氏
  • 今日は「雑柑類」がテーマということで、「天草」、「せとか」、「津之輝(つのかがやき)」、「ひめのつき」、「デコポン」、「甘平」、「土佐文旦」などをお持ちしました。

  • 「ひめのつき」は、アンコール×日向夏です。味はいいのですが、タネが多いのがやや難点です。

  • 「デコポン」は、ハウスから屋根がけになったので、まだ酸が強いと思います。デコポンは皮がしなやかになってくればいいのですが、触ってみてごついものは酸が強いので、気をつけて売ってください。
橋本幾男氏
  • 雑柑類の掛け合わせの親は、「清見」が多い。「津之輝」は清見に興津早生を掛け、さらにアンコールを掛けたもの。「せとか」は、清見に、アンコール、マーコットです。西のほうは興津早生が多く、和歌山から東は宮川早生が多い、というのも覚えておくといいでしょう。

  • 「デコポン」と「はるみ」は、清見とポンカンの掛け合わせですが、ポンカンにも種類があり、デコポンに掛けるのとはるみに掛けるポンカンは種類が違います。

  • 今年の「せとか」はヘタの部分がとがっているものが多く、とがっていないものに比べると味は落ちるので、気をつけてください。

  • 今年の「甘平」はおいしい。今日お持ちしたのは愛媛中央です。施設もので色も良くてすばらしいのが出ていました。

  • 「土佐文旦」は高知です。うちの店では愛知のハウスの「水晶文旦」を売っています。
◇「雑柑類」の写真
せとか
(愛媛)
ひめのつき
(愛媛)
甘平
(愛媛)
土佐文旦
(高知)
はまさき
(佐賀)
津之輝
(宮崎)
大将季
(鹿児島)
 

【八百屋塾2017 第11回】 挨拶講演「プチヴェール・芽キャベツなど」について勉強品目食べくらべ