■2019年5月19日 第2回 豆類・メロン 〜 商品説明「クラウンメロン」塩田勝良氏
  • 私がつとめる「西岩」は豊洲の果物の仲卸で、築地のときからクラウンメロンの取り扱いは一番でした。

  • 今日は、八百屋さんの食べくらべなので、クラウンメロンの1等級しか違わない「山」と「白」を食べくらべていただきます。等級は一番上が1000ケースに1ケースとされる「富士」。次に「山」、「白」、「雪」、「A」や「B」…と続きます。クラウンメロンは、大きさではなく、網目が太く、浮き出ていてきめ細かいものが上の等級です。クラウンメロンはマスクメロンの最高峰で、マスクはムスク(麝香)からきています。

  • クラウンメロンのハウスはビニールではなく、ガラスで南向きです。1棟ごと成長が違い、100日かけて出荷されます。

  • タネの段階で、形がいびつなものなどを目視ではじきます。さらに芽が出てきたものの中から、いいものだけを定植します。
塩田勝良氏

クラウンメロン
  • 「隔離ベッド」と呼ばれる、地面から離れた深さ15センチくらいの栽培床で栽培されています。水分の徹底的な管理がポイントで、地植えでは根を張り、水分をどんどん吸収してしまうため、地面と切り離し栽培されます。そのため乾燥するとすぐに枯れてしまいます。パイプを通した蒸気で土を殺菌してメロンを作り、一回終わったらまた同じローテーションを繰り返します。

  • 水を撒く装置が列ごとに装備されていて、それは水の量、撒く時間を設定出来るようになっていますが、天候不順で天気がどうなるか分からない時には、家族の予定があっても出かけない生産者もいます。

  • クラウンメロンは農家さんが手で受粉します。小メロンに成長すると、三つだけ残し後は摘果します。その中から1つを選び出し大きくなってきたら吊り上げます。摘果の作業の際、手荒れした手で触っただけでも小メロンに傷がつき、その傷は大きくなっても残るため、手袋をして作業したりします。

  • はじめはハネジューメロンのように、表面がツルっとしていますが、中の成長に対して外皮の肥大が追いつかず、亀裂が入って、これを埋めようとして網目ができていきます。ゆっくり時間をかけて成長していくときめ細かな編み目になります。やがて外観は完成品と変わらなくなりますが、中はまだ熟していないので、追熟させます。その際、日焼けしないように新聞紙をかけ表面を一つ一つ手でさすって刺激をあたえ、美しい編み目を作り出し、完全に糖が回ってから出荷されます。

  • 全盛期には600〜700人いたクラウンメロンの生産者さんは今200人ほど。そのなかで最高峰といわれる生産者さんのクラウンメロンは、同じ等級でも網目がより浮き出ています。同じ等級でも並べてみると生産者によって品質に違いがあることがわかります。

  • メロンのおいしい見分け方は、「網目が太く、浮き出ていてきめ細かいもの」で間違いではありませんが、「だれが作ったか」が最大のポイントです。弊社の社長はメロン番付を作っています。だれが優秀な生産者かわかっているというのは、八百屋として大きな財産だと思います。優秀な人が作ると旬の時期も長いそうです。お客さまにも喜ばれると思います。

  • メロンのお尻を叩いて食べ頃を判断するのは、乾いた音ではなく、にぶい音の方が熟しているということですが、それだけで判断するのはむずかしいです。いつ入荷したか、だれが作ったかなどの情報を総合した方が、正しい食べ時を導けると思います。

 

【八百屋塾2019 第2回】 挨拶講演「豆類の豆知識」勉強品目「豆類」「メロン」商品説明食べくらべ