■2014年4月20日 第1回 開講式 〜 勉強品目「新玉ねぎ」について 東京青果(株)富田雅之氏
◇勉強品目「新玉ねぎ」
  • 今日は、北海道産、いま現在出荷のピークを迎えようとしている佐賀県産、ニュージーランド産、アーリーレッド、熊本県産の「サラ玉ちゃん」などをお持ちしました。

  • 玉ねぎの消費量は年間150万トンぐらいで、国内で生産されているのは100〜120万トン。その他は輸入物が中心です。

  • 平成17年(2005年)に、生鮮野菜の輸入量が初めて100万トンを越えました。その年の玉ねぎの輸入量が35万トン近くあり、過去最高でした。これは、生鮮野菜としての数字で、乾燥品等で入っているものをすべて生に換算すると、総輸入量は約300万トンになります。その中で、いちばん多いのが玉ねぎです。
東京青果(株) 富田雅之氏
  • ニュージーランド産玉ねぎの輸入はそれほど多くありません。

  • 最も多いのは中国産で、かつては傷みが多く、品質が悪かったのですが、その後、日本の品種を導入したり、タネ屋さんが指導したりして、現在は劇的に品質が向上しました。中国は人件費等も安いので、国産の半値以下で入ってくるため、業務用を中心に使用されています。

  • 国内最大の産地は北海道で、面積が約1万3000町。年々、微増傾向にあります。ただし、府県産は、佐賀県、淡路島、愛知県、香川県、熊本県、関東では千葉県、栃木県、群馬県等、年々、面積は減少しています。その原因は、20キロという重さ。いま、農家の平均年齢は65〜70歳ぐらいです。お年寄りに20キロは持てませんから、機械化が進まない府県では、面積がどんどん減少しています。

  • 北海道を除くと、いちばん面積があるのは佐賀県ですが、今年から面積が減少に向かっています。佐賀県産の生育状況は、いまのところ順調です。今後、一気に増量してくると思います。

  • 二番目の面積を持っているのは、淡路島で、関西ではブランドになっていますが、関東ではあまりみかけません。淡路島も今年、早生については生育がすこぶる順調です。

  • それ以外の府県の産地も、生育が極端に悪いところはありません。

  • 昨年産は、佐賀県産が4月に大暴落しました。農家の高齢化と、安値が面積を減少させた原因だと思います。平成25年産は、北海道が大不作で、平均反収が5〜6トンのところ、4トンしかありませんでした。今年、北海道産はずっと高値で取り引きされています。

  • 北海道、「きたみらい」の玉ねぎはもうほぼ終了で、それに代わり、佐賀県産が多くなります。

  • 4〜6月は、購入数量を見ても、いちばん玉ねぎが売れる時期です。これからは新玉ねぎが中心になります。甘味が強くてやわらかく、おいしいので、生で食べてもいいですし、食感が残る程度にサッと炒めて塩、こしょうをしただけでも一品料理になります。

  • 玉ねぎは水にさらすと栄養価が減少してしまうので、水にはさらさず、冷蔵庫で30分ほど冷やすと辛み成分が比較的抑えられます。玉ねぎには、血液サラサラ効果があるといわれており、お酒をよく飲む方や食生活が乱れている方は、特に、生のまま玉ねぎを食べるといいそうです。

  • 北海道は、今年は融雪が近年になく早く春作業は順調に進んでいます。通常はゴールデンウィークあたりが定植のピークですが、昨年より2週間近く早く終了を迎える見通しです。7〜8月、北見周辺には、見渡す限り緑色の玉ねぎ畑が広がっています。北海道でも最大の生産地なので、機会があれば一度は見に行っていただきたいと思います。
◇新玉ねぎの写真など
きたもみじ(北海道)
新玉ねぎ(佐賀)
サラ玉ちゃん(熊本)
ELK(ニュージーランド)
オニオンヌーボー(静岡)
アーリーレッド(静岡)
葉玉ねぎ
パールオニオン
ペコロス
エシャレット
ベルギーエシャロット
花ズッキーニ
雪下にんじん(新潟)
     
◇玉ねぎの補足説明 〜 (株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 「オニオンヌーボー」の作り手は静岡県のヤママツ農園さんで、市場にはほとんど出回っていません。

  • 玉ねぎの原産地は中央アジアで、西ヨーロッパと東ヨーロッパに分かれて伝わりました。東ヨーロッパからアメリカを経由して、北海道に導入されたのは、黄玉ねぎ系で辛いもの。西ヨーロッパに伝わった玉ねぎは、白系で甘いものです。

  • 白系は明治時代に愛知に伝わったといわれていて、それが静岡に入って、愛知白とフランスの玉ねぎを交配して作られたのが「オニオンヌーボー」です。フレンチやイタリアンのお店で、サッと炒めたり、ゆでたりして使ってもらっています。
(株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 「アーリーレッド」も静岡県産で、白系の玉ねぎをもとに作られたとても甘い品種です。

  • ほかに、「サラダオニオン」、「ホワイトオニオン」などもあり、これも甘い系の玉ねぎです。熊本県や佐賀県のサラダ系玉ねぎも、これをもとに育成されたものだと聞いています。
◇玉ねぎの補足説明 〜 杉本晃彰氏
  • 玉ねぎは、秋蒔き春採り、春蒔き秋採りの2タイプにわかれます。早生種は全部春採りで、秋採りは晩生の品種です。北海道の玉ねぎは、春蒔き秋採りタイプ。いま出ている新玉ねぎは、秋蒔き春採りタイプです。

  • 淡路の玉ねぎを北海道で作っても、日長時間が違うので、作ることができません。玉ねぎにはそうしたほかの野菜とは違う特殊な面があります。

  • 玉ねぎは切ったあと水にさらさないようにしてください。栄養価が逃げ、風味が落ちてしまいます。

◇その他の品目の補足説明 〜 (株)果菜里屋 高橋廣道氏
  • 「エシャレット」はらっきょうの仲間、「エシャロット」は玉ねぎの仲間です。

  • 「エシャロット」は、ベルギーの港を通して日本に輸入されたので、「ベルギーエシャ」と呼ばれることもあります。みじん切りにして炒めて、フランス料理のスープのベースなどによく使われます。

  • 「パールオニオン」はアメリカ産です。サラダでも煮込んでもきれいな紅白の色になるのでお祝い事にも使えます。

  • 「花ズッキーニ」はいまが旬です。中に魚のすり身などを詰めてフリッターにしたりするとおいしい。
(株)果菜里屋 高橋廣道氏
 
■2014年4月20日 第1回 開講式 〜 勉強品目「メロン」について 橋本幾男氏
◇勉強品目「メロン」
  • 今日は、アンデス、オトメ、クインシー、プリンス、ホームランなど、雑メロンをいろいろ持ってきました。

  • 今年は寒さのせいで量が減っています。油が高いこともあり、年々5%ぐらいずつ減っているそうです。

  • 熊本県のアールスメロンは、今年、約3割減です。千葉県、高知県のアールスメロンがけっこう値段がいいそうです。今日は、クラウンとダイヤの2種類のアールスメロンを持ってきました。

  • 赤肉のメロンは宮崎県産です。
橋本幾男氏
  • アールスは生産者によってだいぶ値段が違います。富士、山、白と分かれており、白は肉が薄い分だけ価格も安いのですが、色の回りが早い。富士になると、全然持ちが違います。

  • これからもう少し経つとタカミメロンが出てきます。タカミはしっかりしたメロンです。

  • 今の時期のメロンはだいたい冬系なので、アールスだったら常温で5〜6日ぐらい持ちます。これから春系になると、もう少し長くなります。もしメロンがやわらかくなってしまったら、布で絞ると本当においしいジュースができます。1個で500〜700mlのジュースがとれます。ピリッとくるのはメロンの繊維のせいなので、ジューサーではなく、布で絞ればピリピリ感はありません。お客さんに試飲で出すと喜ばれます。
◇メロンの写真など
アンデス
オトメ
クインシー
プリンス
ホームラン
マスク
めろめろメロン
肥後グリーン
ブラッドオレンジ(愛媛)
黄金柑(静岡)
湘南ゴールド(神奈川)
 
 

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