■2010年8月22日 第5回 〜 勉強品目「かぼちゃ」 東京青果(株) 個性園芸事業部 審議役 澤田勇治氏
◇勉強品目「かぼちゃ」
  • 東京中央卸売市場でのかぼちゃの取扱量と金額は、平成20年度が45万トン、68億6千万。平成21年度が42万トン、約74億円です。

  • みなさんが主に取り扱うのは「西洋かぼちゃ」が多いと思いますが、それぞれの主要産地の天候条件に注目していただきたい。産地の気候条件によって、品種は大きく変化します。去年取り扱ってよかった商品が今年もいいとは必ずしもいえません。栽培日数等から逆算すると、約2ヶ月前からの産地の天候をきちんと把握することが大事ではないかと思います。

東京青果(株) 個性園芸事業部 審議役
澤田勇治氏
  • 早生、中生、晩生と大きく3つに分かれていますから、それぞれの品種名もきちんと把握しておくこと。

  • 江澤正平先生が、「八百屋さんのキーポイントは、トマトとおいしいかぼちゃを常に供給できる店であること」と、よくおっしゃっていました。おいしいかぼちゃを扱うことがお店の売りのひとつになります。

  • かぼちゃを販売している担当者に、どこの品種か、どこのタネ屋さんのものか、いつ頃から出ている産地のものかなど、きちんと確認して購入することが大事です。

  • 日本かぼちゃは煮物向き。ねっとり感があり、煮崩れしにくい。外観はゴツゴツしています。一方、西洋かぼちゃは外観がつるりとしています。

  • 西洋かぼちゃの場合、甘みの強いものを好む一般の消費者の傾向から、生産量が増えてきました。

  • かぼちゃは非常に栄養価が高い野菜なので、一年中食べていただきたい。通常は捨てられてしまうワタやタネにも栄養があります。タネはきれいに洗って天日に干し、薄く油をひいたフライパンで両面焦げるまで加熱すると香ばしくおいしくいただけます。低血圧の方や、貧血にもいいということなので、特に女性には無駄にせず使っていただくといいと思います。

  • 日本国内で作られているものについては、特殊な栽培のものを除いて、11月いっぱいでほぼ終了します。抑制栽培については、冬至まで作っている産地もあります。

  • かぼちゃには、グリーン系、赤系などさまざまな色があります。もう少し経つと外皮が白っぽいというか、ねずみ色っぽいかぼちゃも出てきます。

  • かぼちゃはキュアリングという処理をするのが通常の出荷体制です。北海道産の場合、2週間ぐらい寝かせてから出荷されます。みなさんが1週間以内に店でかぼちゃを売り終わると、産地から出荷して最大で1ヶ月以内の販売、ということになります。

  • 「そうめんかぼちゃ」は、中の黄色い繊維を酢の物にして食べると、非常におつなものです。こういうかぼちゃの食べ方もある、ということを知っておくとよいでしょう。

  • 「坊ちゃん」は小型系かぼちゃで、1回で食べきるというスタイル。ミニ果です。

  • 石川県金沢の「打木甘栗かぼちゃ」は、交配種ですが、皮が鮮やかなオレンジ色で、色を食べていただくもの。肉質はしっとりタイプです。

  • 「すくなかぼちゃ」は岐阜、高山の特産品です。非常に粉質が高い。ホクホクしたものがほしい、といわれた場合にはこれをすすめていただくといい。店持ちも非常にいいかぼちゃです。

  • 韓国かぼちゃはズッキーニに似ており、サラダ、キムチなどの漬物、煮物などで食べられています。

  • おもちゃかぼちゃにもさまざまな種類があります。色や形を楽しむもので、食べられません。うまく乾燥させてニスを塗り、机の上に飾ったりするものです。

  • ズッキーニには、おなじみの細長いもののほか、丸いものもある。サラダのようにして食べてもおいしい。

  • ヨーロッパ系の品種で、ズッキーニに似ていますが、じつはかぼちゃ、というもの。グリーンと白があります。こういうのもある、と覚えておいていただければいいかと思います。
みやこ
ET
こふき
小菊
えびす
打木赤皮
坊ちゃん
白みくり
サラダかぼちゃ
そうめんかぼちゃ
韓国かぼちゃ
ホワイトクイーン
(テーブルクイーン)
ズッキーニ(緑)
ズッキーニ(黄)
丸ズッキーニ(黄)
おもちゃかぼちゃ各種
 
■2010年8月22日 第5回 〜 勉強品目「とうがらし」 東京青果(株) 個性園芸事業部 審議役 澤田勇治氏
◇勉強品目「とうがらし」
  • 「とうがらし」の中には、香辛的な性格のものと、野菜的な性格のものがあります。

  • 「青とうがらし」、「赤とうがらし」、「島とうがらし」などは香辛的な性格のもの。相当辛いです。

  • とうがらしは、青いものが完熟して赤くなります。その中間には黄色いものもありますが、一般に黄色いものは商品化されません。高温期は、緑のものが黄色から赤に変化してしまうことがありますから、お店でとうがらし類を保管する場合には、気温に注意してください。

  • 世界のとうがらしも各種あります。こんなものもあるんだ、と見ておいてください。食べると相当辛いです。

  • 「万願寺」、「伏見」、「甘長」は、全て甘系のとうがらしで、ピーマン同様、基本的に辛いものはないはずです。ただ、劣化すると辛いものが出ることもあります。万願寺の赤ししとうは、通常の万願寺が熟したものです。京都産のものは単価が高い。京都のタネを持ってきて、静岡で作っているものはリーズナブル。京都産と静岡産を比較し、土地によってどう違うのかも見ていただくとよいでしょう。

  • サカタの「福耳」には辛いものが入っています。茨城県では「じゃんがら」という商品名で作っています。タネがついている部分が辛いので、辛いのが苦手であれば、料理をするときにそこを外す。辛いものを触った手で目をこすると涙がとまらなくなりますのでご注意ください。

  • 「ジャンボししとう」はししとうの大型系のもの。通常のししとうとはちょっと違います。
赤万願寺



甘長ししとう
(伏見とうがらし)

 

とうがらし
甘長とうがらし
ジャンボししとう
島とうがらし
ジャンボ・ハラペーニョ
四川とうがらし
セラーノ・デルソル
韓国激辛とうがらし
ミニボンネット
プリティ・ホワイト
アヒ・チーノ
インドとうがらし
 
■2010年8月22日 第5回 〜 勉強品目「ぶどう」 橋本幾男氏
◇勉強品目「ぶどう」
  • 赤いぶどう「ゴルビー」は、2年ぐらい前までは人気がありました。ロシアのゴルバチョフから名前をとったぶどうです。

  • タネありの巨峰は、長野県産のパック入りがおいしい。タネなしの巨峰は食べやすいが、ジベレリンを使うことで、どうしても熟度が早くなってしまいます。

  • 石川県の「ルビーロマン」というぶどうが、今年は大田にだけ入ってきました。最も高かったのが、なんと5万円。今は量が少ないから騒いでいますけど、今後どうなるか…。今年は5,000〜6,000房だけで、来年になると15,000房。24年になると30,000房になる予定だそうです。

  • 「シャインマスカット」も来年あたりになると、かなり増えてくる。すでに17都県で作っている。3年間は、自分の植えたものから増やしたのは「シャインマスカット」として出していい。
橋本幾男氏
  • 「藤稔」が出ている。大きいが、あまり魅力がなくなってきてしまった。

  • 今の「巨峰」はハウスで、もうそろそろ露地に切り替わる頃。「デラウェア」でもそうですが、露地になると、いきなり酸が強くなることがあるので注意が必要。

  • 今は、「サニールージュ」がおすすめ。特に、塩山の「サニールージュ」は、粒が大きく、タネなしで食べやすくておいしい。

  • 「アレキ」は今も需要はある。やや黄ばんだぐらいのもののほうが糖度は高いが、専門店は色が薄めのものを好みます。

  • 青いぶどうは実が落ちないが、黒いぶどうはポロポロ落ちる。1個1個包んでもダメなので、送るときは、それを承知してください、とあらかじめ電話しないといけない。

  • 宅急便は、ものによってはクール便を使いますが、湿気を持つと余計実が落ちやすくなるので、近いところはなるべくクールにしないようにしています。トラック内部の置き場所が吹き出し口に近いと凍ってしまうこともあります。
山梨産ロザリオビアンコ
山梨産種なし巨峰
長野産種なし巨峰
長野産種なしピオーネ
山梨産ゴルビー
長野パープル
山梨産種なしピオーネ
長野産シャインマスカット
 
 

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