■2009年7月26日 第4回
 〜 勉強品目「かぼちゃ」「えだまめ」について 東京青果 個性園芸事業部 長掛雄治氏
◇かぼちゃの概況
  • 現在、かぼちゃの7〜8割、ほとんどは粉質系。

  • 試食宣伝等をしていて思うのは、お客さまが非常に味にうるさい品目のひとつだということ。

  • かぼちゃ、トマト、さつまいもは、選択するのが難しい。

  • 見分け方を勉強したり、いろいろ食べてみたり、市場で我々をつかまえて話を聞く…などして、入念に選んでほしい。
東京青果 個性園芸事業部 長掛雄治氏
◇かぼちゃとズッキーニの商品説明
みやこ / 産地:神奈川 三浦市農協
◎日本園芸育種研究所が育成、販売はサカタ。
◎えびすと並ぶ西洋系主力品種。えびすよりやや小ぶりで粉質が強い。
◎味と作りに自信があるものに関しては、「こだわりかぼちゃ」として入荷。
ET(イーティー) / 産地:茨城 Nマーク
◎日本園芸育種研究所が育成した品種。みやこと、栃木烏山の中山かぼちゃとの交配からうまれた粉質のかぼちゃ。「E」は園研、「T」は栃木の略。
◎やや尖ったハート型のような形になる。花落ちの部分が非常に小さい。
◎栃木、茨城から始まり、福島、北海道…と、11月末ぐらいまで、ロングラン販売しているかぼちゃのひとつ。
きぬ名栗 / 産地:茨城 北つくば結城
◎トキタ種苗育成品種。みやことほっこりの掛け合わせ。
◎豆のような口溶け。
◎見た目は黒々として、光沢がある。
黒皮 / 産地:千葉  いんば農協佐倉
◎在来種の日本かぼちゃで、篤農家がもっていた品種。
◎現在は、生産者も入荷量も少ない。
◎粘質で、ねっとりした味わいがあり、煮崩れしにくい。
そうめんかぼちゃ / 産地:岡山 瀬戸内農協牛窓
◎金糸瓜、なます瓜とも呼ばれるペポかぼちゃ。
◎外皮はかたく、食べられない。
◎淡黄色の果肉はゆでるとそうめん状にほぐれ、シャキシャキとした食感。酢の物、漬物などで食べられている。
コリンキー / 産地:神奈川 三浦市農協
◎鮮やかなレモン色。やわらかく、皮ごと食べられる未熟果を利用。
◎歯触りがよく、クセもない。
◎生のままスライスしてサラダ、浅漬けなどに。ジャムにしてもおいしい。
坊ちゃん / 産地:熊本 JA熊本市、北部
◎みかど協和育成品種。粉質で甘みが強い、ミニかぼちゃ。
◎丸ごとラップでくるみ、電子レンジで6〜8分加熱すれば火が通る。
◎形をいかし、詰め物料理やプリンにも向く。
打木赤皮 / 産地:石川 JA石川
◎加賀野菜のひとつ。地元では、ゆでたり、ふかしたりして食べられている。
◎西洋種でやや粘質。素材をどう調理するかがポイント。
鹿ヶ谷 / 産地:京都 全農京都
◎京野菜。
◎関東ではあまり流通していない。京都を始め、関西で食べられている。
ラペン(緑)・オーラムまたはイエロートスカ(黄) / 産地:長野
◎長野県で多く作られている。
◎つやのある黒緑色のラペンはシンジェンタシードの品種。
◎黄色のズッキーニは加熱しても退色しないため、彩りに。緑よりやわらかいため、長時間煮込むと崩れやすい。
丸ズッキーニ(緑) / 産地:長野 さくあさま農協
◎ヨーロッパでは一般的。
◎皮はやわらかく、普通のズッキーニと同様に調理できる。
◎種がやや大きめ(食べられる)。水分が多い。
サパジート / 産地:福島 すかがわ岩瀬農協
◎サパジートは、スペイン語でズッキーニのこと。
◎生食もできるため、「サラダかぼちゃ」の名前で呼ばれることもある。
◎普通のズッキーニ同様、炒め物、詰め物料理にも向く。
◇えだまめの概況
  • 東京中央市場の過去5年間で、入荷量は約7,000t。販売単価は、キロ最高で760円、最低で580円。出荷のピークは、7〜9月。

  • 「えだまめ」は、農水省の正式な区分では、「未成熟大豆」という名前になっている。

  • タネまきしてから70〜80日ぐらいでできる。じかまきしたほうが、収量はとれる。

  • 生産者に聞いたところによると、あまりハリがよすぎると、大豆に近くなり、粉っぽくなってしまうので、よくない、とのこと。黄色っぽくなっているのは避けたほうがよい。かといって、青々しくてきれいに見えるのがいいかというと、若くて青臭さが抜けていない場合もある。

  • 今年は、北海道を始め、青森、秋田などは、雨続きで日照が足りない。圃場に入れないところもあり、若干出方が遅れている。トマトなどの果菜類もそうだが、全体的に野菜の数が増えてこない。
◇えだまめの商品説明
サヤムスメ / 産地:青森 田子町農協
◎雪印種苗。品種の数は雪印種苗が最も多くもっている。
◎サヤが大きく、実にはハリがある。
◎ややくすんだ色合いだが、味はこの時期では非常によい。茶豆系統とは異なる、ストレートな、よい味わいが特徴。
湯あがり娘 / 産地:秋田 全農あきた県南園芸
◎カネコ種苗。
◎茶豆風味。
◎ジッパー付きの袋が主流となるなか、機械選果の袋詰めを行っている。

茶豆(品種複数) / 産地:新潟 新潟みらい農協(旧白根市)
◎現時点では、だだ茶豆系の品種が入っているが、具体的には品種が特定できない(産地に複数品種あり)。
◎写真の商品の品種は、「湯あがり娘」。
味緑(みりょく) / 産地:群馬  沼田利根蔬菜出荷組合(天狗)
◎茶豆風味。「湯あがり娘」「ゆかた娘」「げんき娘」という3品種に、「味緑(みりょく)」というブランド名をつけて独自に販売。写真は「湯あがり娘」。毎月1回自主的にグルタミン酸やアラニンなど成分検査を実施し、生産者ごとに評価を出している。消費者からの評価も高い。
■2009年7月26日 第4回 〜 勉強品目「モモ、スモモ」について 橋本氏
◇モモ、スモモの商品説明

 今日は、モモとスモモを持ってきました。

 みなさんも、モモは扱っていると思いますが、うちの店では、今、「てっぺん」というモモを売っています。「上のほうになっている」という意味で、「てっぺん」という名前がつけられたそうです。

 浅間白桃2種類は、色を比べてください。どちらも浅間白桃なんです。赤いほうは、途中まで、白いほうと同じように袋がかかっています。収穫する半月ぐらい前かな…、袋を取ると、色が出てくるんです。白いほうは、袋をかけたままでおいてある。モモはみんな袋がけして育てます。最初から無袋というモモはありません。

橋本さん

 「あかつき」は新潟産。「なつっこ」は、これから出てくる晩生の「川中島」に「あかつき」を交配したものです。場所によってはすごくおいしいものが出るそうですが、「川中島」に「あかつき」なので、売るときにちょっと気をつけないと、お客さんからガリガリだって苦情が来ることがあります。

てっぺん
浅間白桃
浅間白桃
あかつき
なつっこ
よいモモには斑点がある

 最近は、特に、浅間や白凰で、渋みの残るモモがある。お尻のほうが真っ青だったりすると、かなり渋みが残る感じがするので、よく見てから買うとだいぶ違います。

 また、斑点が出ているような感じのモモはおいしい。ただ色だけを見るのではなくて、ちょっとでも、斑点が出ているかどうか、気をつけて見てみてください。

 

 スモモは、「さがエンジェル」、「ケルシー」、「月光(げっこう)」、「季王(きおう)」、「秋姫(あきひめ)」などの品種があります。買ってきてすぐ売ると、ガリガリでおいしくない場合があるので、3〜4日冷蔵庫においてしめると、すごくおいしくなります。色の薄いものでも、1週間もしめると、ガラッと変わる。そういう点に気をつけると、店でもよく出るようになります。

 スモモといえば、昔は塩山だったのですが、最近は、笛吹のほうがいいものが出ています。今は、「季王」がいちばんいい。これから、山形の「秋姫」も出てきます。これもいい品種。「季王」も「秋姫」も、持ってきてすぐ売るより、冷蔵庫でちょっとしめたほうが断然味がよくなります。

 

【八百屋塾2009 第4回】 実行委員長挨拶講演「かぼちゃ」勉強品目「かぼちゃ」「枝豆」「モモ、スモモ」商品情報食べくらべ