■2016年10月16日 第7回 きのこ・りんご 〜 勉強品目「きのこ」について 東京青果(株) 岸野太郎氏
◇勉強品目「きのこ」
  • 「パイリング」は歯ごたえがあるわりにやわらかいきのこです。似たような商品が多数あり、「はくれい茸」、「ゆきれい茸」などの名前で出ています。こうした名前は、だいたいが商品名で、商標を取って販売しているものです。

  • 「ひらたけ」は名前の通り、平たくて肉厚。歯ごたえがよく、おいしいきのこです。
東京青果(株) 岸野太郎氏
  • 「大黒しめじ」はタカラバイオが栽培に成功したもので、京丹波市で作っています。比較的最近、京のふるさと産品協会に登録され、「京野菜」として認められました。肉厚で噛み応えもよく、見栄えがするきのこで、「本しめじ」と同じものです。ちなみに、スーパーなどでよく見かけるしめじは「本しめじ」ではありません。おすすめの商材なので、ぜひ一度お試しください。「丹波しめじ」というものもありますが、こちらはまだ京野菜には登録されていません。

  • 「柳まつたけ」は、まつたけの仲間ではありません。柳の木の下に自生するきのこで、比較的最近栽培できるようになりました。シャキシャキとした歯ごたえで、「しゃっきり茸」とも呼ばれます。

  • 「やまぶしたけ」は白い球状の変わったきのこ。形が面白いので、料理に使うと差別化できると思います。長野での栽培が増えているので、お客さまにすすめてみてください。

  • 「かきのき茸」はえのきの原種に近いきのこ。茶色くて、歯ごたえがシャキシャキしており、普通のえのきより甘みが強いのが特徴です。

  • 「濃丸」は鳥取直送で、大田市場では見かけません。エリンギ特有のにおいがしないのが特徴です。エリンギは比較的新しく、きのこが苦手な子どもでも食べられる、という話を聞きます。

  • 真っ白なまいたけ「雅」は栽培が難しく、流通量が少ないのが現状です。雪国まいたけが作っているプレミアムまいたけ「極」は香りが強く、炒め物などにするとおいしいきのこです。

  • 国産の天然まつたけが出回るようになると、いろいろな原木のきのこも市場に届きます。今日は、栃木のまいたけ、長野のしいたけなどをお持ちしました。原木は価格が合わなくて、なかなか扱ってくれるお客さまがいません。市場より、道の駅などに多く出ていると思います。

  • なめこは、「足つきなめこ」、「万能なめこ」などをお持ちしました。味噌汁に使う小さななめことは違い、大きいものは炒め物や天ぷらにも使えます。かつては料理屋さんが「なめこはのどごしが命」といって、足は不要だったのですが、最近は足つきが増えてきています。

  • 「たもぎ茸」は黄色い色が特徴のきのこ。北海道産です。熱を加えると色がくすんでしまうので、色をいかしたい場合は電子レンジでサッと加熱してください。

  • 「はなびらたけ」は南信州。シャキシャキとした歯ごたえで、中華料理などに使われます。

  • 「コプリーヌ」は希少性が高く、市場には入っていないきのこです。料理屋さんで使いたい、という要望があるのではないでしょうか。

  • 「山えのき」は原種と普通のえのきを掛け合わせたもの。歯ごたえがあり、甘味が強いのが特徴です。

  • 好みですが、「マッシュルーム」は生でも食べられます。クリスマス時期に最も需要が増え、価格も高くなります。

  • しいたけには原木と菌床があり、市場流通するのは、ほとんどが「菌床しいたけ」です。パックとバラがあり、バラは採ったものをそのまま出荷でき、品傷みが少ないので、最近増えています。水分を多く含んでいると茶色くなるので、かさが乾燥してかたいものを選ぶといいでしょう。味は菌床より原木のほうが濃いと思います。ただ、原木は形がよくなかったり、安定して出てこないので、お客さまがほしいときにない場合もあります。

  • 量販店は小さいしいたけより、パック3つでおさまるような大きいものを好む傾向があります。よく、食べでのある大きなものをください、といわれます。

  • 「ジロール茸」は、アンズのような香りがするので「アンズ茸」とも呼ばれます。フリッターにしたり、クリームパスタに入れたりします。フランスでは家庭料理で使われるきのこです。

  • 今シーズンは、気温が高かったことと、台風が多かったので、野菜が満足に育っていません。まだ稲刈りが終わっていない産地が多く、そうすると次の作業に移れません。このあとも、来月くらいまではまだ品薄感があるので、思ったような野菜が手に入らないときは、ぜひきのこを扱ってください。これから、ぶなしめじ、えのきたけは特に増えるはずです。

◇「きのこ」の写真
ひらたけ
(秋田)
本ひらたけ
(新潟)
霜降りひらたけ
(長野)
大黒本しめじ
(京都)
丹波しめじ
(京都)
柳まつたけ
(長野)
やまぶしたけ
(長野)
かきのき茸
(長野)
エリンギ
(長野)
エリンギ「濃丸」
(鳥取)
白まいたけ「雅」
(新潟)
まいたけ「極」
(新潟)
原木まいたけ
(栃木)
原木しいたけ
(長野)
菌床しいたけ
(秋田)
ジャンボ生しいたけ
足つきなめこ
(長野)
万能なめこ
(福島)
たもぎ茸
(北海道)
はなびらたけ
(長野)
シルクはなびらたけ
(群馬)
コプリーヌ
(長野)
山えのき
(新潟)
無洗マッシュルーム
(千葉)
ジロール
陸のあわび
(長野)
   
◇きのこの補足説明 〜 (株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 原木しいたけのほだ木に菌駒を植え込み、一晩水に浸して、5日ほど置いておいたら、このようにきのこが出てきました。
(株)果菜里屋 高橋芳江氏
 
■2016年10月16日 第7回 きのこ・りんご 〜 勉強品目「りんご」について 橋本幾男氏
◇勉強品目「りんご」
  • 今日は、「早生ふじ」、「シナノスイート」、江差の「トキ」、「サンジョナ」などをお持ちしました。

  • 「サンジョナ」は無袋、かたくていいと思います。

  • 今、うちの店で売っているのは、「スイート」、「トキ」、「秋映」です。
橋本幾男氏
  • 「シナノスイート」は上伊那のものを売っていますが、出始めのころから芯カビが出ることがあります。味に変わりはないのですが、売るときは気をつけたほうがいいでしょう。ふけないので、やわらかいりんごが好きな人におすすめです。

  • 今日の「早生ふじ」は、大田市場に入っている中では一番いいりんごのひとつですが、できれば早生系統より本物が出るまで待ったほうがいいとは思います。

  • これから出てくる「名月」や「シナノゴールド」はおいしいりんごです。「シナノゴールド」はやや酸味がありますが、長持ちします。

  • 以前、東一からもらったりんごの資料を配りました。勉強になるので、見てみてください。
◇「りんご」の写真
甚八りんご
(青森)
トキ
(岩手)
サンジョナゴールド
(岩手)
ジョナゴールド
(岩手)
シナノスイート
(長野)
陽光
(長野)
 
 

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