■2012年9月9日 第6回 〜 産地紹介 JAなめがた

 行方市は、霞ヶ浦と北浦という湖の間に位置し、3地区が合併してできた市です。私たちは、北浦地区から来ました。

 JAなめがたでは、60〜70品目作っている方がいます。昔、葉たばこを作っていた生産者が転作で甘藷、施設園芸で水菜、青梗菜、田んぼの転作でレンコンを作っています。最近は、甘藷、馬鈴薯の面積が増えています。

 甘藷は、「紅こがね」、「紅まさり」、「紅ゆうか」の3つが主流で、「紅赤」、「クイックスイート」などもあります。

JAなめがた北浦地区の香取伸吾さん

 馬鈴薯のメインは、「とうや」。加工馬鈴薯では、「トヨシロ」。ほかに、「ワセシロ」、「シンシア」、「北あかり」、「メークイン」も作っています。

 湖に囲まれているので、米も作っており、早場米として出荷しています。今の時期は稲刈りが盛んです。

 安全・安心の取り組みとして、GAPにも力を入れています。生産者の人たちが、軽トラに農薬散布中と貼ったり、ハウスや作業場に、ここではたばこは吸っていないことを示すために禁煙マークをつけたりしています。まだ全部ではないので、徐々に広げていきたい。月に1回、GAPの内部監査を行い、生産者や全農茨城、その他関係者が監査評論会などをしながら、生産者の意識を高めて、安全・安心につながるさまざまな取り組みをしています。

 北浦地区の青年部は、女性も合わせて30人います。JAなめがたでは、部員100人。行方市全体では、若い担い手はもっとたくさんいます。行方は、若い世代がいるので、何十年後も大丈夫です。産地がつぶれることはありません。

 青年部の活動内容は、主に、イベント関係。スーパーなどに行って、野菜のPRをしています。実際に生産者が作っているものを持って行って、売ったりしています。活動を始めてまだ2〜3年しか経っていませんが、試行錯誤しながら進めて、その都度、反省会もしながら、いろいろと取り組んでいます。

 若い部員が外に出る機会を作るために、このような活動を始めました。若い人たちは、従業員の一人として、経営までは携わっていない人が多いので、自分たちの作った野菜がどういうところで売られて、どういう人が買っているのか、といったことを見てもらいたい。いずれはその家を背負って経営していくわけですから、将来のことを考えてもらって、自分の代になったときに、いくらかでもプラスになれば、と思っています。

 この活動を始めたもうひとつの理由は、原発事故です。行方市でも、出荷制限や出荷止めになった野菜が結構ありました。生産部会という青年部の親部会のようなものがあるのですが、原発事故による被害を受けたあと、生産部会から、「若い者が行って野菜を売ってこい」といわれ、去年から、全農さんと協力しながら、月1回ペースでPRや消費宣伝をしています。

 主に京浜地区、東京、横浜、栃木、埼玉を拠点としてPRを展開してきました。横浜は4月、地震の被害があった次の月に、お笑いライブの会場でPRをしました。埼玉は、商工会のみなさんと一緒に野菜を売り、東京は、銀座にある茨城のアンテナショップでイベントをしました。このときは土砂降りでまったく売れませんでした。栃木は、八百屋さんに協力していただき、自分たちの野菜を販売しました。このように、青年部として、いろいろと活動をしており、今後もイベントなどがあれば積極的に参加していきたい、と思っています。

 もし機会があれば、ぜひ現地に来て、実際に見て、生産者と話してください。芋を抜いてもらってもいいし、レンコンを掘ってもらってもいい。私たちは、作っている立場で、市場から先、八百屋さんから先が見えません。意見交換や交流会を開いて、作っている側と売っている側がタイアップし、消費者に野菜をアピールしていきたい。まずは、「JAなめがた」という名前をみなさんに覚えていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

※JAなめがたのみなさんのお話に対し、受講生から下記の意見・要望がありました。

■サツマイモの「紅まさり」が出たばかりの頃、焼き芋にしてみたらすごくおいしかった。まだ誰も知らなくて買ってくれない、というので、うちで全部引き受けた。50〜100ケース仕入れていたのが、次第に、知名度が上がってきて、誰も彼もが焼き芋に「紅まさり」を使い始め、10〜15ケースしか出せません、といわれてしまった。物量が安定してくればいいが、そうなると、うちとしても、また違う品種を探そうかな、と思ってしまう。

■早出しされたサツマイモは、糖化していないからおいしくない。おいしい、というイメージがそこで崩れてしまうので、何とかしたほうがいい。

■野菜も果物も、年々早採りが当たり前になっていて、おいしくないものを出荷されると、八百屋としては困る。店持ちがいいとか、旬でなくても食べられるとかを優先して、おいしいものを旬の時期に食べるという基本的な部分がおろそかになっている。一番おいしい時期をわかっている農家さんが、しっかりとこだわってやってほしい。高くてもいいものを食べたい、というお客さんは結構いる。安ければいいという方向に流れていってしまうと、品物の価値は下がる一方。量を作ればいいとか、早く出荷してお金をたくさんもらえればいいとかではなく、質をよくしていく方向のほうがいいと思う。

 
 

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