■2012年12月16日 第9回 〜 商品情報 山形・真室川町の「からどり芋」

 さといもの仲間、「からどり芋」は、山形県の中でも北に位置する最上地域で主に栽培されており、その中心が真室川町です。

 「からどり芋」は、昭和20年頃から作られており、最上地域の伝承野菜のひとつです。収穫は9月下旬から始まります。

 茎を乾かしたものを、「ずいき」と呼び、納豆汁に入れて食べます。「からどり芋」で食べられない部分はないというほど、いろいろと工夫をして、全部使っています。

からどり芋

 茎が赤紫色なのが特徴で、味噌汁のほか、漬物にしたり、年越しのお供え物にも使われます。

 真室川町では家庭菜園でも作っていたので、すたれることなく伝わってきた。昔は、雪が溶けると、金山町まで「からどり芋」を売りに行ったといいます。

 興味があれば、お配りした資料の問い合わせ先にご連絡ください。

 
■2012年12月16日 第9回 〜 商品情報 山形・川西町の「紅大豆」

 置賜地方の川西町で「紅大豆」を栽培しています。置賜地方には県指定の11品目の伝統野菜があり、「紅大豆」もそのひとつです。

 そもそも、おばあちゃんたちが、自分の家で採れた大豆の中から一番おいしいものを一握りずつ伝えてきたものです。自分の娘や孫が嫁ぐときに持たせた。かつてはその程度の広がりしかありませんでした。

 何か地方の特色を生かした作物を作りたいと考えていたところ、平成18年に、インターネットで、「大豆レボリューション」というグループが、地大豆の中で山形県の「紅大豆」が一番おいしかった、と載せてくれました。それが、われわれが生産している「紅大豆」でした。生産者は4人で、ごくわずかな生産量しかなかったのですが、それほど評価していただけるなら、町内で組織を作り、生産を拡大していこう、ということになりました。

 ただの大豆では面白くないので、研究会を設立するにあたり、名前をつけることにしました。くれない色に近いことと、山形県は紅花でも有名なので、そこから「紅」をとって、「紅大豆」と命名しました。

紅大豆生産者

紅大豆と青大豆

 地大豆の品種登録はむずかしいので、商標登録をとりました。「紅大豆」という名前を残そう、という意味合いで、独占するつもりはありません。「紅大豆」という名前が広がることによって、消費も広がるのではないか、と思っています。川西町は、最初に名前をつけた本家本元として、ほかのところには負けないように、品物は吟味して出荷しています。

 最初は、作れば売れると考えていたのですが、生の豆なので、口に入る機会やお土産としての需要が少ない。そこで、お菓子などを作って商品化してきました。

 のちほど試食していただきますが、「さくらごはんの素」は、豆そのものを炊いてもかたくてうまくいかない、といわれるので、炒ってあります。そのまま炊飯器に入れて炊くだけなので、豆料理はむずかしいと敬遠される若い方にも受けるのではないか、と考えています。炒り方を変えた、お父さんたちのビールのおつまみなど、応用した商品も作られています。本来は、生の豆を一晩水に漬けて、炊飯器で炊いたほうが、本当の意味でのさくら色のごはんになるので、青果商の方にはぜひお客さまにそのようなやり方もすすめていただきたいと思っています。

 大豆は水分を嫌うので、山形のように梅雨がしっかりあるところでは栽培が大変です。普通は30cmぐらいのところを倍ぐらい深く掘り、降った雨がなるべく土壌中に残らないように対策をとっています。

 在来種で、品種改良されていないので、病気に弱い。以前、タバコの後作に「紅大豆」を作ったところ、タバコのウイルスで全滅してしまったことがあります。

 「紅大豆」は、豆の色が魅力ですが、今年のように夏が暑いと、サヤの両脇が白くなる。原因は研究の途中ですが、おそらく高温で色素が分解されるのではないかと考えています。

 色が落ちやすいので、一晩漬けると水が真っ赤になります。それを捨ててしまうと、ただの白い煮豆にしかなりません。最初に軽く洗い、その水は捨てていただいて、水に一晩漬け、漬けた水と一緒に煮ると、チョコレート色の豆に仕上がります。

 「紅大豆」のほかにも、緑色の青大豆や、白い大豆、「秘伝」という大豆など、いろいろな種類を作っています。

 われわれの地域は海に面していないので、昔から、貯蔵たんぱくとして豆が大切な食糧でした。丸いままでは芯まで煮るのに時間がかかるので、「打ち豆」といって、緑色の豆を打って料理しやすくし、いろいろな煮物に入れて食べてきました。内陸特有の食材だと思います。このような地元に残った食材を大事にしながら、これからも栽培を続けていきたいと思っています。

 
■2012年12月16日 第9回 〜 商品情報 長野・山ノ内町の「りんご」

 昨年の7月には、「出張八百屋塾」として、長野県山ノ内町にお越しいただき、八百屋塾のみなさんと本格的にお付き合いさせていただいております。それまでは、ほとんど共選所に出していました。

 りんごの収穫は、これまで色で判断し、11月5日を過ぎると採り始めていました。今年から、185日経過した11月半ばくらいから採るようにしました。

 山ノ内町は12月に入ると雪が降ります。うちの畑は、山の上のほうにあり、路面が凍結すると車が行けなくなります。12月いっぱいで収穫をしなければならないので早く採っていました。今年は2週間くらいでコンテナ約1000箱、去年よりもいいものが採れたと思います。

 りんご何種類かとももがあります。去年と今年、関東の八百屋さんでも販売させていただいたのですが、個人的には、やや積極性が足りなかったかと反省しています。今後はもっと積極的にコンタクトを取りながら、りんごやももを売っていきたいと思っています。

山ノ内町のりんご生産者、関一夫氏

山ノ内町のりんご

 農協一辺倒だと、消費者の方と話す機会がほとんどありません。農協に出せば売ってくれてお金になるので、消費者のニーズが分からない。ですから、八百屋塾に参加して、非常に勉強になりました。今後も太く長くお付き合いできればと思っていますので、よろしくお願いします。
 

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