■2013年2月17日 第11回 〜 商品情報 イタリアの「タルティーボ」について

 昨年度から、イタリアの農家で住み込みで働きながら、「タルティーボ」の取材をしています。

 「タルティーボ」とは、「赤チコリ」の中でも、「ラディッキオ」の仲間です。「プレコーチェ」、「キオッジャ」はまっすぐな形状のもの、「タルティーボ」は先が少し丸くなっているものです。

 「タルティーボ」は、4月中旬〜下旬にかけてタネをまき、7〜8月に畑に植えます。11月末に、第一段階の収穫期を迎えます。

 12月末〜1月にかけては霜が降りるので、それを防ぐためにマルチをします。

 11〜12月までは青かった「タルティーボ」が、1月になると赤くなります。それを機械や手堀りで、1回掘り起こします。芽を10〜15センチ残した状態で刈り取り、大きなコンテナに移して、いったん工場に持って行きます。1日2往復ぐらい収穫するのですが、これを4ヶ月続けます。

 「タルティーボ」は、アルプスから流れてきた水で育てます。畑の状態は水が多く、収穫後の畑は、トラクターも埋まってしまうほどです。

 工場に運ばれた泥のついた状態の「タルティーボ」は、第二段階で、カセットといわれるコンテナに、「グランデ(大)」と「ピッコロ(小)」、大きさで分けて箱詰めします。箱に入れたまま、水につけて遮光し、2〜3週間、緑の葉の中の白い部分を育てていきます。2〜3週間経ったらプールから出し、出荷する状態にします。

 出荷するには、根の部分を洗って切り落とし、6〜7角形に削ぎます。皮をむき、まわりを削いで、もう一度洗ってから、大きさ別、レベル別にわけてコンテナ詰めや箱詰めにされます。

坂本晶子氏

タルティーボ

アーティチョーク


 一流レストランに行くような一番いいレベルの「タルティーボ」の箱には「EGP」というマークがついています。EGPとは、イタリアの規格で、生産地域、生産国、EUの厳しい品質管理を通ったものの中でも、その農家が選んだ商品だけをこの箱に入れて出荷することができます。

 EGPのほかに、DOPという規格もあります。日本で手に入りやすいイタリア食材には、オリーブオイルやバルサミコ酢などがありますが、EGPやDOPのラベルが貼ってあったら、国が証明しているものなので、安心して購入できると思います。

 価格は、最高レベルの「タルティーボ」が現地の価格でキロ500円でした。もっと下のレベルのものだと、キロ2.5ユーロ、3ユーロ、4.5ユーロでした。

 「タルティーボ」は、イタリアでは、この季節になると、地元の人が毎日のように食べているポピュラーな野菜です。サラダにするときは、ぶつ切りにして、オリーブオイルやバルサミコ酢、塩、こしょうをかけて食べます。あとは、半分に切ってフライパンで焼いたり、マリネやジャムにもしていました。イタリアのレストランに行くと、デザートにも練り込まれていたりもします。

 1月はマイナス3度ぐらいで、雪は降りませんでしたが、寒かったです。

 朝6時半から12時までは、「タルティーボ」を刈りとる作業をします。昼からは畑作業をして、18〜20時まで箱詰め作業をします。

 物価は日本もイタリアもほぼ同じくらいで、家の値段、鍋の値段などは変わらない感じがしました。ただ、食品は安いので驚きました。特に野菜は極端に安かったです。消費税は40%、その代わり病院は無料です。

 アーティチョークは、現地のスーパーで、1個0.9ユーロでした。日本人が思っている食べ方とはまったく違う食べ方をします。また、イタリア北部と南部でも、調理方法や食べ方がまったく違うそうです。来月はアーティチョーク農家に取材に行く予定なので、またアーティチョークについてもご報告できれば、と思っています。

 
 

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