■2012年10月21日 第7回 〜 商品情報 山形・西川町のきのこ各種

 西川町の山採りきのこや原木栽培のきのこをご紹介します。

 「原木なめこ」は、通常、9月中旬から11月下旬頃(霜の降るまで)が収穫時期ですが、今年は夏の気候の影響で10日ほど遅れているようで、全体に出るのが遅れています。

 試食の芋煮に入っているのは、「ぶなはりたけ(かのか)」です。山形では、豚肉と煮物にしたり、油揚げと炒め物にしたりします。非常に香りが強いきのこなので、地元では、汁物には使いません。(※調理スタッフより、“本当は、「くりふうせんだけ」を入れてください、といわれていたのですが、みつからなかったので、「ぶなはりたけ(かのか)」を入れてしまいました”との説明がありました)

 これらのきのこは、生のまま洗うと壊れてしまうので、水からゆでます。沸いてくるとゴミが浮き上がるので、それをとります。

 天然の「舞茸」、「ひらたけ」も持ってきました。「舞茸」は香りがいいので、あとでぜひ嗅いでみてください。

原木なめこ

天然はりたけ
 市場や直売所に出回るものは、すべて、放射性物質の分析をしています。今回持ってきた西川町のきのこも、全部セシウム不検出という結果が出ていますので、安心してお召し上がりください。

 山菜の水煮の資料も持ってきました。6月の八百屋塾で、「ねまがりたけ」を食べていただきましたが、その「ねまがりたけ」を、「わらび」や「赤みず」などの山菜と一緒に水煮にしたものです。山形のきのこが出る時期に、山菜の水煮と合わせて、炊き込みご飯や和え物、きのこ鍋にしていただければ、と思っています。

 なお、昨日から、渋谷ユーロスペースで、「よみがえりのレシピ」というドキュメンタリー映画の上映が始まりました。地域のことを紹介していますので、ぜひ見てみてください。

 
■2012年10月21日 第7回 〜 商品情報 山形産の食用菊「もってのほか」

 寒河江で食用菊「もってのほか」を栽培しています。

 山形では古くから食べられていて、家の回りに植えられていました。私の父親が、仲間とともに消費拡大に努め、食用菊の栽培を始めたのが、約50年前になります。

 最近は、「もってのほか」というネーミングが面白い、ということで、さまざまなところで取り上げていただけるようになりました。紫の花の色や、食感も好まれているようです。つい先日も関西から来られた方が、「もってのほか」は、今まで食べたことのある黄色い菊とは食感が全然違う、とおっしゃっていました。

 山形は、日本一の食用菊の産地です。現在は、やや色の薄い「早生もって」が中心です。色の濃いほうが「本もって」で、学名は「延命楽」という名前です。山形で一番多い食べ方は、お浸しです。おじいちゃん、おばあちゃんがどんぶりに盛ってお茶請けにする、という感じです。

 東京にも、農協から出荷していますが、販売を増やしたいと、われわれ生産者、15名でがんばっています。村山を中心として、県内一円で「もってのほか」が栽培されるようになりましたが、まだまだ知らない人も多いと聞きました。今日はこうした勉強会で紹介できる機会をいただけて、大変嬉しく思っています。

 昔ながらのお浸しだけではなく、若い人に受け入れてもらえるような新しい食べ方を考えたいと思っており、ホテルやレストラン向けのサンプル提供もできます。

 「もってのほか」は、通常、10月中旬〜11月中旬が収穫時期ですが、今年は暑さで、開花が2週間近く遅れました。今日の「本もって」は、初詰みのものです。普通はもう少し早く咲きます。

食用菊生産者の氏家志信氏

早生もって菊

本もって菊
 収穫量は、寒河江では、食用菊全体で30トン。そのうち「もって菊」は、10トンぐらいを目標として生産しています。

 「もって菊」は管弁といって筒状ですが、9月から平弁の「紅もって」も出しています。「本もって」はシャキシャキとした食感で、「紅もって」は、色が濃いく、甘みがあって、モチモチとした食感が特徴です。食用菊では、ほかにも、あと3種類ぐらい出しています。

 エディブルフラワーのように生でも食べられなくはないのですが、ゆでないと甘みが出ません。ほろ苦さをうまく利用する料理法があればいい、と思います。山形市内では、ロールケーキなどのお菓子に使ったり、スパゲティの上に散らしたりといった使い方をしている飲食店もあります。

 ゆでるときは、酢を多めに入れないと、花びらの色が茶色くやけてしまいます。お湯の量の5%の酢を入れるのがゆで方の基本です。

 われわれや、親の年代まではよく食べたのですが、今の若い人は、自分で散らしてゆでるのが面倒なようです。散らさずにそのままゆでても、ガクの部分にほろ苦さが残るので、酒のつまみとしてはおいしい。

 地元の直売所では、散らしてパックしたものを販売しています。また、生のまま散らしたものを冷凍庫で保存することもできます。

 「もって菊」の天ぷらは、花びらを散らさずに形のまま、裏側に衣をサッとつけて軽く揚げます。甘みの出るものを選抜しているので、それほど苦くはありません。山菜のような感覚でお召し上がりいただけます。

 
■2012年10月21日 第7回 〜 商品情報 山形産の里芋「悪戸芋」

 蔵王連峰と朝日連峰に挟まれた盆地、夏は暑くて冬は寒い、という過酷な土地柄で農業をしています。

 須川という川沿いに、上流から、「金谷ごぼう」、「堀込せり」、本沢の「山形青菜」、われわれが作っている村木沢の「悪戸芋」と、いろいろな伝統野菜の産地が形成されています。

 里芋は、村木沢全体では、約6ヘクタール栽培しています。「悪戸芋」は、そのうち、1.4ヘクタールぐらいで、総生産量は60〜70トンです。

 普通の土垂芋は、9月上旬から掘り採りを行いますが、村木沢の「悪戸芋」は、10月20日からの出荷です。

 9月上旬ですと、山形では、土垂もまだ大きくなる前からの収穫になってしまうのですが、「日本一の芋煮会」という3万人が食べられる大鍋で芋煮をするイベントがあり、そこから芋煮シーズンがスタートするので、小さくても収穫を開始します。

 「悪戸芋」は晩生種なので、早く収穫してしまうと、ぬめりが出ず、おいしくありません。そのため、われわれは、解禁日を10月20日に決めています。

悪戸芋生産者の開沼健氏

悪戸芋

 「悪戸芋」は、村木沢の悪戸地区に古くから伝承されていた里芋ですが、高齢化などで、生産者がほとんどいなくなってしまい、15年前、タネを確保していた方から、5つの芋をわけていただき、増やしていきました。まだまだ足りないのですが、ようやく直売所などで販売できるようになりました。

 なかなか増やせない原因が2つほどあります。まず、山形の芋煮会は、9月上旬から始まり、県民は芋煮会が大好きなので、大変盛り上がるのですが、10月20日頃には飽きてくる。おいしい「悪戸芋」が出る頃には、里芋がそれほど売れなくなってしまうわけです。

 また、11月20日〜25日頃までしか収穫ができないのも理由のひとつです。非常に寒い土地なので、その時期になると、掘り採り作業を手伝ってくれる人が少なくなることと、天候が不順な時期ということもあり、収穫が非常に大変になるので、生産量がなかなか増えません。

 昨年あたりから、生の「悪戸芋」を洗って皮をむき、冷凍したものを販売する、という試みもしています。
村木沢では、以前から、皮をむいて冷凍する人が多く、いつでも食べられるのでとても便利です。科学的なことはわかりませんが、私は、むしろ冷凍したほうが食感がよくなっておいしい、と思っています。

 生産量が少ないため、なかなか市場には出回りませんが、なんとか多く生産できるようなシステムを作りたい、と考えています。

 ぬめりが強く、大変おいしい里芋です。ただ、都会の方に食べていただいて、その評価を聞きたいと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。

 
 

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